.:. 常 凡 なる 日 常 .:.
断片的な短編小説と、日記を載せます。
題名の足りない音楽会
音楽会はいつだってそうだ。
人が集まるといつだってそうだ。

テーマ:つぶやき - ジャンル:小説・文学

楽がしたい。
何かを犠牲にして何かを手に入れるなんて、
都合が良すぎやしないか?

テーマ:物書きのひとりごと - ジャンル:小説・文学

地球がちゃぶ台だったなら
私はとっくにひっくり返しているだろう。
今の心持ちはそれくらい強大なものである。

なんでもかかってこい!

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同窓会タイムパラダイム
 いつからだろう。スーパーマンになれないと思ったのは。
 戦隊物でも、変身物でもなんでもいい。スーパーマンっていう種族だと思ってくれればいい。手から変な光線は出ないし、コンクリートの壁を貫くパンチだってできない。校則で移動してシュタッなんて音は出ないし、肩はこるし、食事も普通に食べる。食べなきゃ死んじゃうし、逆にあんなに食べたら、それはそれで死んでしまう。
 駅のホームで、マンガを読んでいた。
 私の青春がなくなったのはいつだったっけ。ついぞそんな風に思わされるマンガだった。考え直してみると、スーパーマンって、実は私の世代じゃない。精々アンパンマン止まりだろうか。話題にするならドラゴンボールが適当だろう。
 小学校の頃、ズガピシドガバキなんて効果音を付けながら、どうしようもない殴り合いをするのはしょっちゅうだし、帰りの通学路で車を片手で持ち上げる空想や、手から気が出て粉砕する様を思い描くこともあった。カメハメ波はいつでも出せるように研究した、遂には打てるという友達も噂になったこともあった。
 格闘技の道に目覚めて、本やらなんやで知識を集めたのはその後だっただろうか。でも、皆そうやってたと思う。それで話題が膨らんで喧嘩みたいになっていくのも経験がある。私は滅法殴ったりしかけたりしている方だったと思う。いつの間にか、現実にできることしか考えなくなっていた。
 ぽろるろるろるろん。電車がようやく来る。私は席から腰を浮かし、電車が来る空間に目をやった。雨が降っていた。直角に落ちてくる雨を弾き飛ばして、電車の本体はホームに滑り込んできた。ガラスは曇って明らかにじめじめしていた。ドアが開いても人、人、人。そこには人の壁があるだけだった。乗るのが億劫になってしまう。今日は折角あいつらに会いに行くというのに、嫌になってしまう。
 「あいつら」と言える友達を手に入れるまで、どれだけ遠回りをしただろう。手のひらで、不意に感じる自分の気が、ただの体温でしかなくて、誰にも、何も威力が発揮できないと理解するまで。
 漫画や映画の物語の空想に、私達は何を求めているのだろう。いずれくる、夢を忘れる時のため。いずれくる、一連の動作に慣れるため。いずれくる、スーパーマンになれないと気持ちを紛らわすため。だって、いつかなれると想定していた。その想定していた時期がやってきているのだから。
 なんだ、こんなものか。そんな気さえしてくる。
 目的の駅のホームに着いた。一駅の違いで、そこは別世界になる。歩いている人も違えば、町並みも、しきたりも違う。決定的なのは、匂いが違うことだった。警察官の眼つきも町によって一変する。折りたたみの傘をさすと小さかった。慣れない町の雑踏で、肩身の狭い思いをすることになる。
 人の間を、少し早い私の歩調がすり抜けて良く。追い越し追い抜き、幾度か行く手を遮られ、変ないらいらを溜め込んでいく。何を考える訳でもなくなって、浮かんでは消え、消えては浮かぶ、ボロボロのマントにゴーグルをつけた、空き地のヒーローが脳裏をかすめていた。
 私の、小学生の頃の姿だ。
 私が求めていたすごい人って、なんだったのだろう。手から光線でもなく、ヒーローであること、そのものだったのだろうか。いつの間にか、私はこうして色んなものの違いを考えて、欲をかいて、分からなくなっていった。
 コンビニの前で、女子高校生が雨宿りをしていた。髪は濡れ、肩は濡れ、雨の中を走ろうか悩んでいるようだった。私は手に持った折りたたみ傘を見て、何故だか彼女に渡そうと思った。一度通り過ぎ、時間を見て、肩でわざとらしくうなだれて、コンビニに寄るフリをした。一度入ってから、深呼吸をする。ボロボロのマントとゴーグルをつけたような気分だ。つかつかと歩み寄り、思い切って、すごく思い切って、呼んだ。
「あの。傘、どうぞ」
声が変だったと思う。女子高校生も自分と気付かずに振り向かないので、手が震えてしまい、顔も引き攣っていくのが分かった。「あの、傘。いいから」もう一度繰り返す。鼻が膨らんでいるのではないだろうか。大して可愛くもない女子高校生が振り向いた。彼女も同じような顔になっていた。身を硬直させている所に、私は受け取りやすい位置に傘をさしだすと、反射的に女子高校生は手を出して、傘を受け取った。
 私の手は傘の重みを失って、ふいと軽くなった。この場にいられなくなって、私は瞬間的に会釈をした。そして、雨の中を走ってあいつらに会いに行こうと思う。雨の音や走る音が耳を打つ。血の中で小さく、もっと小さく、「ありがとうございます」という声が聞こえ反響している気がした。

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眠気
 白と黒と灰色しかない国でした。
 彼らは色を求めました。
 赤い花がこの世に一輪だけ存在すると、
 世界で一番の賢者が言い伝えていたからです。
 王様は命じました。
 どんな手段を使っても、花を手に入れろ。
 兵隊は頑張りました。
 大臣も頑張りました。
 お后も頑張りました。
 国民も頑張りました。
 皆も一目見てみたい気持ちがありました。
 王様は悩みました。
 一向に見つからないからです。
 国が廃れていくのも気づくことなく、
 白い花や黒い花には目もくれず。
 ある時、一人が血を吐いて倒れました。
 王様の無理な要望に、体が耐えられない人がたくさん出ていたのです。
 血は真っ赤でした。
 王様は倒れた兵士を見て、
 よく見つけた。褒美を取らそう。
 そう言いながら、とても喜びました。
 たくさんの花を見て、よろこびました。
 この国に、白と黒と灰色と赤ができた瞬間でした。
 今も、赤は兵隊の中の一人が見つけてきます。
 だが残念ながら、赤い花はすぐに黒くなってしまいます。
 王様は九の赤い花を見た夜。
 自分の体に刃を立てて、大きな花を作りました。

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